労務基礎講座

 労働保険とは

 労働保険とは、労災保険と雇用保険を総称したもので、保険給付はそれぞれで行われますが、保険料の支払いは一体で行われます。労働者(パートタイマー、アルバイト含む)を一人でも雇用していれば、業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり、事業主は成立(加入)手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません。

 労災保険とは

  労災保険とは、業務上の事由又は通勤により労働者がケガ負う、病気に見舞われる、障害を負う、または死亡するなどした場合に、労働者やその遺族に必要な給付を行う制度です。

 ケガや病気になったときは療養給付・傷病給付・休業給付、障害を負ったときは障害給付、死亡したときは遺族給付・葬祭給付、介護が必要になったときは介護給付などが支給されます。

 雇用保険険とは

 労働者が退職し失業状態になったときの手当てや教育訓練を受けるときの給付、育児や介護で休職したときの給付を行うことで、労働者の生活の安定と雇用の安定と就業の促進を図る制度です。また、会社に対しては各種助成金の支給を行い雇用の安定を図っています。

 失業したときは失業給付、傷病により働けなくなったときは傷病手当、育児や介護で休業したときは育児休業給付・介護休業給付、高齢者が働き続けたときは高齢者雇用継続給付などが支給されます。

 従業員を採用したとき・従業員が退職したときの手続代行

 新たに従業員を採用した時は、雇用保険被保険者資格取得届を雇用した月の翌月10日までにハローワークに提出する必要があります。従業員が退職したときには、雇用保険被保険者資格喪失届を退職日の翌日から10日以内にハローワークに提出し、また退職者の希望により離職証明書(離職票)を交付しなければなりません。これらの書類の作成および届出を当事務所がお客様に代わり行います。

 労働保険の年度更新の手続代行

労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度)を単位として計算され、その額はすべての労働者に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定されます。

労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算します。

したがって、事業主様は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。これが「年度更新」の手続きです。

この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。

手続きが遅れますと、政府が保険料・拠出金の額を決定し、さらに追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)を課すことがあります。

また、年度更新の手続をするにあたり次のことに留意しなければなりません。

その年度に支払った賃金の総額労働保険料等は、その事業に使用されるすべての労働者に支払った賃金の総額に、その事業に定められた保険料率・一般拠出金率を乗じて算定します。そのため、この賃金総額を正確に把握しておくことが必要です。

また、「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で賃金を支払われる者をいいます。

ただし、その事業に使用される労働者のうち、雇用保険料の負担が免除される「高年齢労働者」(その保険年度の初日において満64歳以上の者(㊟令和元年度で終了))や雇用保険の被保険者とならない者(学生アルバイト等)に対して支払った賃金がある場合には、労災保険に係る保険料と雇用保険に係る保険料とを区別して、それぞれ算定したものの合計が労働保険料となります。

「賃金」とは、賃金、給与、手当、賞与など名称の如何を問わず労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものをいい、一般的には労働協約、就業規則、労働契約などにより、その支払いが事業主に義務づけられているものです。

このように、様々な点に留意して正確な手続を行う必要があります。

具体的な手続としては、「算定基礎賃金集計表」を作成しそして「労働保険概算・確定保険料申告書」を作成して、所轄の労働局または労働基準監督署にて申告を行います。これらの書類の作成および提出を当事務所がお客さまに代わり行います。